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MMTの起源は日本という俗説

現在、世間ではMMTが話題です。しかも、その起源は日本にあるとか。

MMTとは、モダン・マネタリー・セオリーの略で、アメリカの左派ポピュリズム界隈で唱えられている理論です。ダニやシラミに効く発がん性物質ではありません(それはDDT)。秋元康プロデュースの揉め事が多いアイドルグループでもありません(それはNGT)。桑田の息子でもありません(それはMatt)。

アメリカでの流行を受け、日本でも立憲民主党などの左派ポピュリズム政党のみならず、財政拡大を支持する勢力から素晴らしい理論だと崇められています。日本版の「反緊縮」と称する勢力もこの理論をベースにしています。

理論の大雑把な内容は
・自国通貨を持っている限り、国債をいくら発行しても、中央銀行に引き受けさせてもインフレは起こらない
・国債発行によって予算を確保し、強力な財政出動(特に失業者の最低賃金での無制限雇用)を行うべき
・財政出動によって失業率が下がるとインフレが発生するが、この時に増税を行えばインフレは沈静化する
というものです。

また、この理論の実践例として、日本が挙げられており、日本は日銀が国債を実質的に引き受けており、通貨を市中にばらまいているが、インフレは起きていないという意見です。

まあ呆れたというか何というか、ジンバブエやベネズエラのような自国通貨を持つ国が極度のインフレに襲われたのはごく最近の事ですし、過去に起きたハイパーインフレというのは、理由は色々あれど最終的には通貨の過剰発行によるものばかりです。ちなみに、ハイパーインフレの原因というのは理由は2つで、1.生産や流通の停滞 2.通貨の過剰発行です。

戦争や戦争級の愚かな政策によって生産や流通が破壊されるとモノ不足が発生し、物価が急激に上昇します。これがよくあるハイパーインフレで、対策としては食糧支援を世界から受けながらインフラや生産設備に投資しまくることです。第二次世界大戦直後に日本で起きたインフレがこれにあたります。

ところが、こうしたモノ不足によるインフレを通貨発行で賄おうとすると、通貨の過剰発行に至り、国家の信用が崩壊します。先に挙げたジンバブエやベネズエラもそうですし、モノ不足を経由しない例としては、第一次世界大戦後のドイツが挙げられます。MMTも基本的には同じ運命を辿るでしょう。モノが不足していようと需要が不足していようと、通貨を過剰発行したらハイパーインフレは起こります。中南米の豊かな国だったベネズエラは、ハイパーインフレにより今や飢餓が発生し国民はペルー、コロンビア、ブラジルなどへ脱出を図っています。

さて、そういうところで気になったのは、日本がMMTのモデルだということ。日本政府は国債発行をアホみたいにしていて、日銀が国債を買い占めていることは周知の事実ですが、これは財政ファイナンスにあたるのでしょうか?日銀は通貨を過剰発行しているのでしょうか?調べてみました。

やや旧聞に属しますが、日銀の平成30年3月決算を見てみます。貸借対照表の資産の部を見ると、日銀は国債を448兆円保有していました。日銀の総資産が528兆円ですので、日銀の資産のほとんどが国債だということですね。一方、同じ貸借対照表では、発行銀行券は104兆円でした。発行銀行券というのは要は通貨であり万札であり諭吉先生であり現ナマなわけですが、現ナマが負債に計上されているというのはなんだか不思議な気がします。これは日銀は資産を民間銀行から購入して現ナマを発行しているので、現金は日本銀行の財務上は負債に計上する、ということなんですね。

そういえば諭吉先生は2024年を目途に引退だそうで、次の1万円札の顔は渋沢栄一だそうです。1万円札から発せられるメッセージが「勉強しろ」から「起業しろ」に変わるわけで、日本経済に対する喝であろうと思われます。

閑話休題、日銀は国債保有高が448兆円なのに対し、通貨は104兆円しか発行していません。全然通貨発行してない。ショボい。MMTじゃない。ていうか差額は何?というところですが、実は日銀は民間銀行から当座預金を受け入れており、その額が同じ平成30年3月決算時点で400兆円あります。結局のところ、銀行から資金を吸収して国債を買っていたというわけです。ちなみに内訳は、都銀が130兆円、ゆうちょ+信金+その他銀行が80兆円、信託銀行が50兆円、地銀が40兆円、残りが外銀や証券会社などです。

これらの銀行は、当然のことですが預金を受けいれて日銀の当座預金に資金を積んでいるわけで、結局のところ預金者のカネが回りまわって日本銀行の中で日本国債を買い支えているということが会計的に明らかになりました。

結論ですが、日本政府は財政ファイナンスは行っていません。日銀が保有している国債は、回りまわって国民の財布から出ている資金であることが分かりました。それはそれで腹立たしいですし、景気が悪化しつつある昨今、財政出動が必要であることは理解できますが、その財源を通貨発行益に求め、その理論をMMTに求めるのは悪手であるというと言えるでしょう。

もっとも、ハイパーインフレで国の借金を国民生活もろとも吹き飛ばしたいというのならば話は聞きますが、ベネズエラの惨状を見る限り、到底賛成は出来ませんよ。

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