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個人向け劣後債がコールされない条件とは

過去にも書いた話なのですが、個人向け劣後債について、2chで期限前償還されるされないという議論が行われています。今一度劣後債について整理し、今後の投資の参考にしていただければと思います。

1.劣後債は、潰れた時に返ってくる確率が低い
劣後債とは、発行している会社が倒産した時に、返済順位が低い社債のことです。最近劣後債の起債が多いところということで、三菱東京UFJ銀行を例に挙げれば、三菱東京UFJ銀行がもしも倒産した場合、三菱東京UFJ銀行の債権者は同行の債権を換金して平等に山分けします。貸出金は他の銀行に売り、株式は市場で売却し、本店ビルなども売ってお金に換えてみんなで分け合います。その際、劣後債の債権者は他の債権者が全員回収が終わるまで一切回収することはできません
もしも三菱東京UFJ銀行が倒産した時に債務超過(資産をすべて処分しても負債を返済しきれない状態)であった場合は、劣後債の債権者は満額回収は不可能になります。また、日本の企業は赤字でもギリギリまで倒産を回避する傾向があり、大幅な債務超過になってようやく倒産を選択する傾向があるので、本当に倒産したらおそらく回収は困難、劣後債は紙切れになる可能性が高いといえます

2.劣後債を出す側のメリットは「自己資本比率の強化」
劣後債には、「一定条件ならば負債だけど自己資本とみなしてもいい」というルールがあり、発行すると自己資本比率が向上します。銀行が劣後債を発行する理由は、銀行は「1株当たりの利益額を高める(そのためには、預金や社債をどんどん集めて貸出に回し、株主の権利を薄める増資はなるべく控える必要がある)」「健全性維持のため、自己資本比率を一定以上キープする(そのためには、貸出はなるべくセーブして預金や社債を減らし、増資を行う必要がある)」という相反する命題をクリアしなければならないためです。
社債だけど自己資本とみなしていいという劣後債は、こうした銀行のニーズに応える金融商品です。株主の権利を希薄化させずに自己資本を高められるため、発行する銀行側にとっては大きなメリットがあります。

3.劣後債は「あと5年」を切ると自己資本じゃなくなる
劣後債を自己資本とみなすルールの中には「劣後債の償還まであと5年以上残っていなければならない」というルールがあります。5年を切ると徐々に自己資本とみなしていい金額は減っていきます。つまり、銀行からみれば徐々に自己資本比率が下がっていくということです。このため、8年の劣後債であれば発行後3年を経過すると、自己資本比率を高めるというメリットがなくなってしまいます。
そこで、多くの銀行は3年経過後に新たに劣後債を発行し、償還まで5年を切った「用済みの」劣後債を期限前償還(コール)してしまいます。新しい劣後債は再び自己資本とみなすことが出来るので、銀行は再び劣後債のメリットを享受することが出来るというわけです。これが、「銀行の劣後債は3年で償還される」という話の出所です。

4.劣後債がコールされない条件
こうしたことから、銀行にとって劣後債をコールして新しい劣後債を発行するというのは今や当たり前の慣習となっているので、8年の劣後債は3年で期限前償還されるということを前提にして劣後債を買ってもまあ問題はないでしょう。しかし、それでも法律上は「コールしなくてもいい」ということになっているので、コールしない可能性もあります。実際、このところの金融危機でドイツのドイツ銀行、韓国のウリ銀行、そして日本のみずほ銀行が劣後債のコールを相次いで見送り、それぞれ金融市場に小さなパニックを起こしました。
どういう時に劣後債をコールしないという現象が起きるかというと・・・
1.ハイパーインフレで市中金利が異常な上昇を起こしている
2.景気回復で金利が急上昇し、自己資本比率のメリットを捨ててもコールしない方が有利
3.その銀行に信用がなく、新たに劣後債を発行することが出来ない

などの理由が考えられます。劣後債を購入する時には、こうした事が起こらないであろうという確信を持った上で購入するべきでしょう。
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